現代のオフィスでは、働き方改革やテレワーク推進に伴い「フリーアドレス」や「ハイブリッドワーク」が広がっています。固定席を持たず自由に席を選ぶ働き方は、オフィススペースの有効活用やコミュニケーション活性化などメリットが大きい一方で、個人の荷物管理という課題も生まれます。社員が毎日ノートPCや書類を持ち運ぶのは負担ですし、机上の私物が散らかれば生産性や衛生面にも影響します。また、自分の席がない環境では「居場所」や「自分のスペース」が感じにくくなり、社員のモチベーションに不安を覚える総務担当者の方も多いでしょう。
このような課題を解決し、社員一人ひとりの働きやすさと満足度を高める施策として注目されているのが「パーソナルロッカー」の導入です。社員専用の収納スペースを用意することで、「物の紛失防止」「衛生管理」「働きやすさ向上」に直結します。
本記事では、現代オフィスに欠かせない収納設備である「パーソナルロッカー」についてオフィス環境の改善を検討中の総務担当者の皆様にとって実践的なヒントとなる内容をお届けします。
目次
フリーアドレス時代になぜパーソナルロッカーが必要?
フリーアドレスやABW(Activity Based Working)を採用するオフィスでは、社員の席が日替わりで変わるため個人の荷物を置く場所が必要になります。自席がない分、ノートPCや資料、筆記具、私物などをしまっておく専用ロッカーが各人にあると安心です。終業時には荷物をロッカーに片付け、デスク周りをリセットする「クリーンデスク」運用にもつながります。ロッカーに荷物を入れておけばその日必要ない物を毎回持ち歩かずに済み、移動の負担も軽減できます。さらに、私物をロッカーに保管できればデスク上に物が散乱せずオフィス全体の整頓度も上がります。
フリーアドレス環境では社員宛の郵便物の管理も課題になります。各社員の固定席がないため、社内メールや郵便物の配布に困るケースがありますが、近年のパーソナルロッカーには扉に郵便物投入口(メール穴)が付いたタイプもあり、この問題を解消できます。たとえば総務担当者が各ロッカーの投函口から直接社員宛書類を入れれば、受け取りの手間が省けて業務効率化につながります。
そして何より、社員の安心感とエンゲージメント向上という点でもパーソナルロッカーは効果的です。自分専用のロッカーがあれば、「社内に自分の居場所がある」という帰属意識を得やすくなります。フリーアドレスでは放っておくと社員の帰属意識が薄れがちですが、ネームプレート付きのパーソナルロッカーが社員の心理的な拠り所となり、会社への愛着やモチベーション向上に寄与します。実際にロッカー内を常に整理整頓してどこに何があるか把握できる状態に保てれば、無駄な捜し物の時間が減り仕事の効率アップにも繋がります。このように、パーソナルロッカーは働きやすさと社員満足度の両面からフリーアドレス・ハイブリッドワーク時代に欠かせない存在となっています。
パーソナルロッカーの種類と機能~製品選定のポイント~
パーソナルロッカーと言っても、オフィスの規模や運用に合わせて様々な種類・仕様があります。選定時にチェックすべき主なポイントを整理してみましょう。
収容人数とサイズ
ロッカー1台あたりの収納「○人用」という表記で、何人分の収納スペースがあるかを示します。一般的な製品では1人用(個人用ロッカー)から、2人用、4人用、6人用、8人用、810人用程度までラインナップされています。オフィスの人数やレイアウトに合わせて必要な台数を検討しましょう。また、奥行きが浅いスリムタイプのロッカーもあります。スペースに余裕がない場合は奥行き300〜400mm程度のスリム型を選ぶと通路を圧迫せず設置できます。逆に上着も収納したい場合は高さがあるバーチカルタイプ(縦長タイプ)を選ぶなど、収納物に応じてサイズ・形状を検討する必要があります。
施錠方式(ロックの種類)
パーソナルロッカーの鍵の種類も重要です。オーソドックスなシリンダー錠(鍵付きタイプ)はシンプルで確実ですが、鍵の管理が必要です。近年は鍵不要の暗証番号式ロッカーも人気で、ダイヤル錠(数字合わせ式)やテンキー錠(プッシュボタン式)などがあります。さらに進んだ方式として、ICカード錠や社員証連動の電子ロックも登場しています。セキュリティレベルと運用負荷のバランスを考えて施錠方式を選びましょう。
便利な機能
最近のパーソナルロッカーは、単なる収納にとどまらず、多機能化が進んでいます。たとえば、扉に郵便物を投函できるスリットが付いているタイプであれば、社員宛の書類や郵便物を直接ロッカーに入れることができるため、不在時でも確実に受け取れます。
さらに、電源コンセントが内蔵されているタイプであれば、ノートPCやスマートフォンなどの充電も可能。収納中にデバイスを安全に充電できる点は、多くの企業で評価されています。扉の内側に小物用のポケットやフックが備えられている製品もあり、筆記具やIDカードなどの細かいアイテムの整理にも便利です。また、デスク周りの機能をロッカーに集約し、書類保管・メール受け取り・デバイス充電まで一体化したタイプも登場しており、柔軟な働き方を支える存在として注目されています。
このように機能性に優れたロッカーを導入することで、オフィス内の利便性や業務効率の向上につながるだけでなく、社員の働きやすさにも大きく貢献できるでしょう。
デザインと耐久性
オフィス家具の一部なので、デザインも無視できません。カラーは白やライトグレーが定番ですが、近年は黒いロッカーもモダンな雰囲気で人気です。メーカー各社でカラーバリエーションや木目調仕上げなども増えており、オフィスインテリアに調和するデザインを選べます。また構造的にはスチール製が一般的で頑丈さと耐久性があります。金属製ロッカーの法定耐用年数は15年と定められており(国税庁「耐用年数表(所得税法)PDF」より)、長期の使用にも耐える資産となります。毎日使うものだからこそ品質の良いものを選びたいですね。メーカーのカタログや展示スペースを見ると質感や扉の開閉感なども確認できるので、ぜひ参考にしてください。

パーソナルロッカー活用のコツ:整理整頓と収納術
パーソナルロッカーを導入しても、うまく活用できなければ効果は半減します。社員が各自ロッカーを整頓しやすく、使いやすいように運用面の工夫もしておきましょう。
まず基本は収納ルールの徹底です。ロッカー内が物であふれると結局探し物に時間を取られかねません。社員には「ロッカーに入れるものは本当に必要なものだけ」に絞るよう促し、不要物をため込まない習慣づけが大切です。会社としても定期的なロッカー整理デーを設け、不要になった書類や備品を処分する機会を作ると良いでしょう(例:3か月に1度全社員がロッカー中身を見直すなど)。実際に「ロッカー引っ越し」と称して定期的に中身を全部出し入れする仕組みを取り入れ、整理整頓の教育につなげている企業もあります。
収納術としては、ロッカー内に市販の整理用品を活用するのも効果的です。たとえば幅が狭いスリムなカゴ(バスケット)をロッカー下部に置けば、文房具やPC周辺小物をひとまとめに収納でき、細々した物が散乱するのを防げます。扉の内側にマグネット付きのフックや小物入れを取り付ければ、デッドスペースになりがちな扉裏も有効活用できます。ワイヤーネットを扉裏に結束バンドで固定し、フックを掛けて鍵や社員証を吊るすといったアイデアもおすすめです。各自が使いやすい工夫をしつつ、「常にどこに何が入っているか分かる配置」を決めておくことがポイントです。毎日使う文具は取り出しやすい手前に、あまり使わない書類は奥に、というように使用頻度に応じた定位置を決めておけば、業務中に必要な物をサッと取り出せて作業効率も上がります。
最後に、ロッカー運用ルールも明文化しておきましょう。例として「機密書類は必ずロッカー内に施錠保管し、席を離れる際は机上に放置しない」「飲食物はロッカー内に長期間保管しない(衛生面のため)」などです。社員が安心・便利に使えるルールを整えることで、パーソナルロッカーのメリットが最大限発揮されます。
座席管理システム「WORK AGILE」によるスマートなオフィス運用
パーソナルロッカーの導入は、社員の働きやすさと満足度向上に大きく寄与しますが、フリーアドレスオフィスをさらに快適に運用するには座席管理の仕組みづくりも欠かせません。そこで注目したいのが、森トラスト株式会社の提供する座席管理システム「WORK AGILE(ワークアジャイル)」です。
WORK AGILEはオフィスのフリーアドレスやハイブリッドワークで生じる「誰がどこに座っているかわからない」「出社したのに席が足りない」といった課題を解決するクラウド型のツールです。PCやスマホから簡単に座席を予約でき、社員の座席利用状況をリアルタイムに「見える化」します。部署メンバーの所在を素早く把握でき、出社率・席の稼働率などをレポートで分析できるなど、ハイブリッドワーク時代のオフィス運用に役立つ機能が充実しており、空間と働き方のパフォーマンス最大化に貢献してくれます。たとえば「チーム席予約」機能を使えばプロジェクトチームが近くの席に固まって仕事をすることも簡単ですし、QRコードチェックイン機能で実際の座席利用状況を正確に反映することもできます。初期費用無料・月額1名あたり220円から導入できる手軽さも魅力で、座席管理の専門知識がなくてもすぐに運用を開始できます。

引用元:WORKAGILE公式サイト
フリーアドレスの効果を最大化するには、パーソナルロッカーで各人の持ち物管理を充実させることに加え、「どの席に誰がいるか」「明日はどのメンバーが出社するか」といった情報を共有・管理する仕組みが重要です。WORK AGILEのような座席管理システムを導入すれば、社員は出社前にオンラインで席を確保でき、部署内の在席状況も一目で把握できます。結果として、社内コミュニケーションの活性化やオフィスの有効活用につながり、真に機能的で働きやすいオフィス環境が実現するでしょう。
総務担当者の皆様は、ぜひパーソナルロッカーの活用による快適な収納環境づくりと併せて、WORK AGILEによるスマートな座席管理の導入も検討してみてください。社員が安心して働ける空間と仕組みを整えることで、ハイブリッドワーク時代のオフィスでも社員満足度の高い、生産性あふれる職場を実現できるはずです。
パーソナルロッカー+座席管理システムという組み合わせで、これからのオフィス運用をよりアジャイルに進化させていきましょう。