フレックスタイム制は、社員の自主性に委ねて始業・終業時刻を決定する労働時間制です。近年、ワークライフバランスの実現や残業時間の削減などの目的で、多くの企業が導入しています。しかし、導入を検討中の企業にとっては、デメリットも気になるところでしょう。
本記事では、フレックスタイム制のメリットとデメリットを詳しく解説します。それぞれを比較することで、自社に合っているか判断しやすくなります。また、デメリットを軽減する対策についても紹介しますので、導入したいけれどデメリットが気になる方も参考にしてください。
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、社員自らが仕事を始める時間と終える時間を決めて働く制度 です。
多くの場合は、「1日実質8時間、9時から18時まで勤務」と企業が決めた勤務時間帯で働くのが一般的です。しかし、フレックスタイム制は一定の総労働時間を満たしていれば、始業・終業時刻や労働時間は社員が自由に決められる制度です。
これにより、子育てや介護をしながら働く社員は、家族の都合に合わせて働きやすくなります。通勤ラッシュを避けて出勤したい社員にとっても、メリットは大きいでしょう。
フレックスタイム制の4つのメリット
フレックスタイム制には、次のようなメリットがあります。
- ●ワークライフバランスの向上が期待できる
- ●残業代の削減につながる
- ●離職率が下がる可能性がある
- ●優秀な人材を確保するのに役立つ
フレックスタイム制の導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
ワークライフバランスの向上が期待できる
フレックスタイム制を導入すると、ワークライフバランスの向上が期待できます。
フレックスタイム制は、社員が自身のライフスタイルに合わせて、出勤・退勤の時刻を調整できる働き方です。育児や介護などをしながら働く社員の場合、企業が決める出勤・退勤時刻では家庭に支障が出てしまうケースもあるでしょう。勤務時間を自分で調整できれば、仕事と家庭の両立を図りやすくなります。
また、ワークライフバランスが向上すると社員は仕事への意欲が高まるため、企業においては社内全体の生産性向上が期待できます。
残業代の削減につながる
フレックスタイム制は、残業代の削減にもつながる働き方です。
フレックスタイム制では、社員は自分のライフスタイルに合わせて、出勤・退勤時刻を調整できます。集中力が高い時間帯に長く働いたり、体調に合わせて休憩をとったりしやすくなるため、生産性が向上します。
また、通勤ラッシュを避けての出勤も可能です。出勤前に余計なストレスがかからずに済むため、社員は高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。その結果、仕事が効率化し、残業が減るでしょう。
離職率が下がる可能性がある
フレックスタイム制の導入は、離職率の低下につながる可能性があります。
介護や育児などをしながら働く社員の場合、固定時間制の働き方では、仕事とプライベートを両立するのは困難です。場合によっては、退職を検討せざるを得ないケースもあるでしょう。
フレックスタイム制を導入すれば、これらの社員は、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるようになります。やむを得なく退職するしかなかった社員も、働き続けるという選択肢を増やすことができます。
また、フレックスタイム制は、社員のワークライフバランス向上が期待できる働き方です。仕事に対するモチベーションやエンゲージメントが高まれば、転職を検討する理由を減らせます。
優秀な人材を確保するのに役立つ
従来の働き方よりも自由度が高くなるフレックスタイム制は、優秀な人材を確保するのに役立ちます。
近年の労働者は、給与よりも働きやすさを重視する傾向にあります。自由な働き方をアピールするのに、フレックスタイム制の導入は有効です。
企業の中には、給与水準を上げるのが難しく、優秀な人材確保を諦めているところもあるでしょう。フレックスタイム制を導入すれば、企業の強みとしてアピールできるので、優秀な人材確保に役立ちます。
また、働きやすい環境は、子育てや介護をしながら働く社員にとって魅力的に感じるものです。そのため、優秀な人材の流出を防ぐのにも効果的です。
フレックスタイム制の5つのデメリット
魅力的なメリットがある一方で、フレックスタイム制には以下のデメリットがあります。
- ●勤怠管理が複雑になる
- ●社員間でのコミュニケーションが不足する
- ●社員の生産性が低下する可能性がある
- ●顧客と時間を合わせ辛くなる
- ●オフィスの光熱費が増加する
フレックスタイム制を導入した後に、「失敗した」「このリスクは予想していなかった」とならないよう詳しく見ていきましょう。
勤怠管理が複雑になる
フレックスタイム制を導入すると、 従来の就業時間制度よりも勤怠管理が複雑になります。
始業・就業時間が決まっている従来の働き方は、定時を超えれば自動的に残業になるため、勤怠管理は比較的シンプルでした。しかし、フレックスタイム制では社員一人ひとりの始業・終業時間が異なります。定時も社員によって異なることになるため、残業に切り替わる時間を把握するのも困難になります。
勤怠管理が複雑になれば、管理業務の手間が増えるので、人事や管理職に大きな負担がかかるでしょう。
社員間でのコミュニケーションが不足する
フレックスタイム制を導入すると、社員同士が顔を合わせる機会が減ります。直接的なコミュニケーションが不足し、従来の働き方よりも情報共有や連絡が取りにくくなることで、さまざまなトラブルを招く恐れがあります。
例えば、仕事の進捗状況やトラブルの共有が遅れると、納期に間に合わなかったり仕事の質が低下したりしてしまいます。連絡が漏れれば、仕事のミスやトラブルの原因になり兼ねません。
さらに、社員間でのコミュニケーション不足は、チームワークや人間関係の悪化を招くこともあります。仕事の効率や生産性が低下するだけでなく、職場環境も悪くなるでしょう。
弊社の座席管理ツール「WORK AGILE」には、誰がどこにいるのか・いる予定かを確認できる「把握機能」のほか、社内コミュニケーションを促進させるための機能が充実しています。チーム共同予約や、部署共同出社日設定、ランダム席予約といった機能があり、チームで顔を合わせながら仕事をしたり、普段話さないような人との偶発的なコミュニケーションを生んだりといったことが可能です。
WORK AGILEを導入すると、フレックスタイム制による、社員間でのコミュニケーション不足を解消できます。
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社員の生産性が低下する可能性がある
本来、フレックスタイム制は生産性の向上が期待できる働き方です。しかし、自己管理能力が低い社員にとっては、かえって生産性を低下させる原因になり兼ねません。
自己管理能力が低い社員は、自律的な働き方をコントロールすることが苦手です。そのため、始業・就業を明確に決めずダラダラと働いたり、仕事以外のことに気を取られて集中力を欠いたりする可能性があります。仕事の進捗状況を把握できず、目標や納期を守れない可能性もあります。
納期を守ることができないと、取引先との信頼関係にも影響するでしょう。フレックスタイム制を導入する際は、 自己管理能力が低い社員への対策を講じることが重要となります。
顧客と時間を合わせ辛くなる
フレックスタイム制は、社員が自ら出勤・退勤時間を決められる制度です。そのため、顧客側からすると、社員がいつ働いているか把握し辛くなります。
例えば、顧客が固定時間制で働いている場合、フレックスタイム制で働く社員と打ち合わせや商談を設定するのが難しくなります。また、顧客もフレックスタイム制で働いている場合、両者の勤務時間が重ならないこともあり、連絡や連携が取り辛くなるでしょう。
このような状況が続けば、顧客は「連絡してもいつも折り返しになる」「朝一で確認したいのにいない」といった不満を抱きます。顧客との信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。
オフィスの光熱費が増加する
フレックスタイム制の導入は、光熱費の増加を招きます。なぜなら、社員の出勤・退勤時間帯が分散し、オフィスの総使用時間が長くなるからです。
フレックスタイム制を導入すれば、朝早くに出勤する社員もいれば、昼から出勤し遅くまで働く社員もいるでしょう。オフィスの照明や空調の使用時間が長くなれば、光熱費の増加は避けられません。
昨今は、原油価格の高騰や円安の影響により、電気代が上がっています。そのため、光熱費が増加する影響は、より大きくなると考えられます。
フレックスタイム制のデメリットを軽減する5つの対策
フレックスタイム制のデメリットを軽減する対策は、以下の5つです。
- ●座席管理ツールの導入
- ●フリーアドレス制の導入
- ●コアタイムの設定
- ●就業規則やルールの設定
- ●オフィスのコストを抑える環境づくり
デメリットを軽減できれば、フレックスタイム制の導入をより前向きに検討できるでしょう。それぞれの対策について詳しく解説します。
座席管理ツールの導入
フレックスタイム制のデメリットには、勤怠管理の複雑化とコミュニケーション不足が挙げられます。座席管理ツールの導入は、これらのデメリットを軽減するのに有効です。
例えば、座席管理ツールを導入すると、社員がどこで働いているのかリアルタイムで把握できます。社員の入退室を記録する機能が付いている座席管理ツールなら、出勤・退勤時間帯を正確に把握できるため、より便利です。
また、座席管理ツールの中には社員同士のコミュニケーションを促進する機能を備えたものもあります。フレックスタイム制の導入により、コミュニケーションの機会が減少するデメリットを軽減するのに効果的です。
弊社の座席管理ツール「WORK AGILE」を活用すると、社員一人ひとりの居場所をリアルタイムで確認できます。視覚的にもわかりやすく表示されるため、社員を探すストレスから解放されます。
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フリーアドレス制の導入
フリーアドレス制の導入は、社員間でのコミュニケーション不足や生産性低下、光熱費の増加といったデメリットを軽減できます。
フリーアドレスは、決まった席を持たずに働くワークスタイルなので、違う部署の社員が隣で仕事をするのが当たり前となります。今まで交流がなかった社員と話す機会が増えるため、企業全体のコミュニケーションを活性化するのに有効です。
また、フリーアドレスはリモートワークと相性が良いため、さまざまな働き方が可能になります。社員の生産性や満足度の向上につながり、企業の競争力強化にも貢献するでしょう。
さらに、フリーアドレスを導入すれば社員に固定席を用意する必要がないため、オフィススペースの削減につながります。オフィスの設備費用を抑えられるため、光熱費の増加をカバーするのに有効です。
弊社の座席管理ツール「WORK AGILE」は、スマホやタブレットから席を事前に予約できます。「出社してみたけど空いている席がない」「チームで会議するための席がない」といったトラブルを未然に防げます。
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また、下記の記事でもフリーアドレス制の導入について解説しているので、併せてチェックしてみてください。
フリーアドレスのメリット・デメリットを紹介!導入を成功させる5つのポイントも解説コアタイムの設定
コアタイムを設定すると、フレックスタイム制で生じやすいコミュニケーション不足を軽減するのに役立ちます。
コアタイムとは、社員全員が必ず勤務しなければならない時間帯のことです。コアタイムを設けることで、社員同士が顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが活性化します。
例えば、コアタイムを10時〜14時に設定した場合、社員は10時より前の任意の時間に出社することになり、退勤時間もそれに応じて調整可能です。そのため、自由な働き方を求める社員にとっても、朝早く仕事をして早めに退社するか、朝少し遅めに出社するかが選べるようになります。
就業規則やルールの設定
フレックスタイム制を導入する際には、就業規則やルールを整備することが重要です。
フレックスタイム制は、社員が自分の裁量で勤務時間を決められるため、自由度が高い働き方です。それゆえに、業務のトラブルにより早出・残業が必要になったとき、協力を得られにくい場合があります。
早出・残業をお願いしなければならない可能性を想定し、就業規則や勤怠ルールには早出・残業の協力依頼について明記しておきましょう。いざ早出・残業が必要になったとき、社員は自発的に協力してくれるはずです。
オフィスのコストを抑える環境づくり
フレックスタイム制のデメリットである、光熱費の増加を解消するためには、オフィスのコストを抑える環境づくりが有効です。
具体的な方法には、以下のものがあります。
- ●エアコンや照明などのオフィス設備を人感センサーの設備に変える
- ●フレックスタイム制の時間帯の幅を抑える
- ●オフィスの照明をLED照明に変更する
オフィス設備を人感センサーにすると、オフィスに人がいないときは自動で電源が切れるため、光熱費の削減につながります。また、コアタイムを設け、フレックスタイム制の時間帯の幅を狭めることで、オフィスの空調や照明などの光熱費を抑えられます。
フレックスタイム制を導入する際の注意点
フレックスタイム制を導入するには、 就業規則等への規定と労使協定の締結が必要です。就業規則等には、コアタイムの設定や所定労働時間、適用対象者などの事項を規定する必要があります。
また、労使協定には、就業規則等の事項に加えて、社員の健康管理のための措置などの事項を定めなければいけません。
フレックスタイム制は、社員にとって働きやすくなる制度のため、一度導入した後に撤回するのは困難です。自社には合わないと判断した場合を想定し、フレックスタイム制を廃止できるよう準備しておく必要があります。
具体的には、就業規則等と労使協定に、廃止の可能性を視野に入れた規定を盛り込むことが重要です。労使協定に廃止を検討する不都合の具体的条件を記載し、社員にはしっかり説明しておくとよいでしょう。
フレックスタイム制のデメリットを補うには「WORK AGILE」
引用元:WORK AGILE公式HP
フレックスタイム制にはさまざまなメリットがある反面、気になるデメリットがあるのも事実です。そこで、デメリットを補う手段として弊社の座席管理ツール「WORK AGILE」の導入がおすすめです。
例えば、フレックスタイム制では、勤務時間が合わず、社員間でのコミュニケーションが不足するというデメリットがあります。「WORK AGILE」の把握機能を利用すれば、誰がどこで仕事をしているのか、何時から出社する予定なのかがわかるようになります。
また、出社率やオフィスの利用率が一覧表示されるので、オフィスのさらなる有効活用にも効果的です。他にも、社員間でのコミュニケーション不足や、社員の生産性低下などのデメリットを補える機能が充実しています。
「WORK AGILE」を導入すれば、フレックスタイム制のデメリットを低減した運用が可能になります。
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まとめ
フレックスタイム制は、社員自らが始業・終業時刻を決定する制度です。 魅力的なメリットがある一方で、勤怠管理の複雑化や社員間でのコミュニケーション不足などのデメリットがあります。
デメリットを軽減する対策としては座席管理ツールやフリーアドレスの導入、コアタイムの設定などが効果的です。
フレックスタイム制が合わなかった場合を想定し、廃止の条件や可能性を、就業規則や労使協定に盛り込むのもよいでしょう。
デメリットや注意点をカバーしながらフレックスタイム制を導入するためには、「WORK AGILE」の活用がおすすめです。
「WORK AGILE」は把握機能や予約機能により、フレックスタイム制によるマネジメントの複雑化を軽減し、コミュニケーション不足の解消に貢献します。これによりフレックスタイム制のデメリットを低減した運用が可能になります。
フレックスタイム制の導入を検討している企業は、気軽にお問い合わせください。
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